般若心経・金剛般若経 四

「舎利子(しやりし)。」

読み下し文

「舎利子よ、」

現代語訳

「シャーリプトラよ、」

これは、人名で、釈尊の高足の弟子のひとりのことです。智慧第一と謳われた人です。

「色不異空(しきふいくう)。」

読み下し文

「色は空に異ならず。」

現代語訳

「この世において、物質世界には実体がないのであり、」

ここで、色は「壊れるもの」「変化するもの」を意味します。古来、変壊(へんね)・質礙(ぜつげ)の義ありといわれています。変壊とは、絶えず変化して一時も恒常でないということ。質礙とは物質が同時に同じところを占有できないこと。

これは、ずばり、「存在」に関する深い思索に満ちた言葉です。「色は空に異ならず」。何とも深い言葉です。

確かに私の「存在」、それをハイデガー風に言い換えますと「現存在」は、二つと同じ場所に存在することは不可能です。これが存在には決定的であって、それ故に、他者は現存在にとって超越者としてこの「世界」に現われるのです。そして、物質もまた、現存在と同様に己に関して深い思索をしていると考えると、現存在と物質を分ける根拠はなくなります。

This entry was posted in 仏教, 宗教, 般若心経 and tagged , . Bookmark the permalink.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です